インターフェイス–誕生までの経緯
インターフェイスの特徴
名門大企業での経験
過去の経験を、コンサルティング・ビジネスに活かす
志願者を取り巻く競争環境
アジア人志願者の増加
大学院のプログラムに貢献するとは
日本人志願者に多いミス
インターフェイス独自の指導法
インターフェイスならではの特色
1999年度(暫定)結果
日本の今後について

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Warren J. Devalier氏について

ウォーレン・デヴァリエは、約20年にわたってシティバンク、エクソン・コーポレーション、チェース・マンハッタン投資銀行に勤務し、商業/投資銀行業務、企業財務業務、ゼネラル・マネージメントの経験を積んだ後、1988年にインターフェイスを設立。インターフェイスのその後2年を経て株式会社化された。

デヴァリエは、チェース・マンハッタン投資銀行マネージング・ディレクター兼コーポレイート・ファイナンス・エクゼクティブ(米国ニューヨーク)、ゼネラル石油マネージング・ディレクター(東京)、エッソ・チリ・ゼネラル・マネージャー(チリ、サンティアゴ)、エクソン・コーポレーション・ポートフォリオ・マネージャー(米国ニューヨーク)等の役職を経験してきている。

柴田篤祐氏について

このインタビューの質問者柴田篤祐氏は、(株)インターフェイスがサーヴィスを開始した当時のクライアントの一人。現在はマサチューセッツ州ボストンに在住、テレビ会議/ ビジュアル・こらボレーション・ネットワーキング・システムで業界をリードするPictureTel Corp.でビジネス・デヴェロープ・マネージャを勤める。

インターフェイス — 誕生までの経緯

柴田 :インターフェイスが法人化されて今年で10年目を迎えるわけですが、この機会にその横顔やフィロソフィーをさらに詳しく紹介できれば、これをお読みになるユーザーのみなさんにもお役に立てるのではないかと思うのですが。

デヴァリエ:面倒でない質問でしたらなんなりと…..冗談です、何でも訊いてください。

柴田:では、まずどうしてこのビジネスをお始めになったのですか?

デヴァリエ:エクソン社に勤務していた時代に、東京で日本企業とのジョイントベンチャーで働いていたことがありました。このときにはディレクターのポジションで、ファイナンス、プランニング、ニュービジネス、そしてケミカルの4つのグループを統括していました。この立場で、日本人の仲間と米国側(49%出資の株主でした)との文化的な橋渡しの役目を果たしていたのです。その際の経験から、東洋と西洋との「コミュニケーション・ギャップ」がいかに大きいか、またそこから生じる相互の誤解がいかに深刻になりうるかを身をもって学びました。そして当時から日本が大好きでもありましたし、いったん帰国した後も「いつかまた戻りたい」との希望を持っていました。同時に自分で事業をはじめたいもずっと思っていたのです。

日本で自分のビジネスをスタートさせるということは、新たなチャレンジでした。それまで長年にわたり大企業で働き幸いにも成功を収めてきたと思いますが、そうした経験とはまったく異なる種類のことだったのです。日本人のみなさんが学業や職業における各々の夢を叶えるお手伝いをする、そういうビジネスを立ち上げ育てていくという考えは自分にとってきわめて自然なものでした。また自分ならびに仲間として働く人たちが、質の高いプロフェッショナルなサービスを特定の数の顧客に提供するというタイプのコンサルティング・ビジネスをつくりたいとも思っていました。すなわち、ビジネスの規模が大きくなりすぎてクライアントとの関係が粗雑でよそよそしいものになってしまうのがいやだったのです。「大量生産のための工場を運営する」のではなく、少数の顧客に高い満足を約束する「ブティック」を開き、そこで手作りのオーダーメイドのサービスを提供したいと考えていました。

柴田:仲間として働く人(associates)と仰いましたが、具体的にはどんな人たちを指すのでしょうか?

デヴァリエ:投資をしてくれた日本人の株主、重要なサポート役を果たしてくれているアシスタント、そしてプロフェッショナルなコンサルタントたちのことです。

インターフェイスの特徴

柴田:エクソンのような大企業で働くのと、インターフェイスのような小さなアントレプレナー的企業で働くのとでは、実際どのような違いがありますか。

デヴァリエ:それは昼と夜ほど違うものでして。

まず、インターフェイスには官僚主義的なところがまったくありません。そうしていられる余裕が無いためです。何か解決されなければならない問題が生じれば、それが可能な人間が誰彼を問わずすぐにアクションを起こします。また非生産的な「スタッフ・ミーティング」も持ちませんし、必要が無い限り報告作業はありませんし、もちろん非公式な場での政治的な働きかけもありません。そのようにして時間の浪費を防いでいます。もともと無駄にする時間などないのですから。

半年ほど前に、それまでインターネット分野で成功を収めた日本企業で働きウェブに関して書物も著している日本人のテクニカル・ディレクターを雇い入れたのですが、彼もこうした自由な環境にたいへん驚いていました。以前の会社もいわゆるベンチャー企業に分類される小規模なところなのですが、そこと比べても官僚主義的な部分がたいへんに少ないと言っていました。

ぎに、コンサルティングという仕事はとても集中力のいる仕事でして、自分がチェース・マンハッタンで銀行家として働いていた時、あるいはエクソンで管理職の立場にあった時にも、時間・内容両方の点で大変な仕事をしていたのですが、ときにはまた時間が開くこともありました。ところがインターフェイスでは、なすべき仕事が限りなくあります。時計に目をやって「あ、もう家に帰る時間だ」と気付く、そんな毎日の連続で、文字通り「時間が飛ぶよう」に過ぎていっています。

第三に、このアントレプレナー的な仕事には特別な満足感があります。もし何かに失敗しても自分以外に責める相手はいませんし、また成功を収めれば、自分及び他の人たちをモチベートしてその結果を残せたことがはっきりとわかり、とても良い気分となります。

柴田: アントレプレナー的なビジネスはどこで行うにしてもたやすくはありませんが、日本という社会でそうするのはとりわけたいへんなのではないでしょうか。自分の事業を所有し運営する外国人が希有な国で成功のために克服しなければならなかったハードルとは、どんなものでしたか?

デヴァリエ:まずはっきりしておかなければならないのは、自分で事業を興し成功を収めるということに、万人が目指すべきことでない点です。ハードワークが必要ですし、自己を強力に律しなくてはなりません。結果を残しても残せなくても、毎月の終わりに給与明細が待ってくれている、という世界ではありません。自分とチームメイトの努力を通して結果を出さなければ、お金を稼げないのです。さらに実入りの金額も一定していません。

こうした点を踏まえた上で、自分の経験を振り返ると、日本でビジネスをはじめるに当たって特別なハンディキャップがあったとは思いません。自分の母国語以外の言葉でコミュニケートしなくてはならない点はもちろんたいへんでしたが。しかし、この国の市場が外国人に対して閉ざされていると感じたことはありません。むしろそれよりも、「自分の製品・サービスが競合他社よりもはっきりと優れていることを示さなくては成功を収められない」といった(普遍的な)ことをはじめから認識しました。また絶え間なくイノベーションを続けていくことも必要ですが、この点についてはインターフェイスは上手くやってきていると誇りを持っていえるかと思います。たとえばこの業界でいちばん早くインタビュートレーニングをはじめたのも、あるいはGMATのAWAのためのコースを取り入れたのも、私たちです。新しい製品やサービスをいちばん先に導入しようと常にアイデアを求めているので、こうした結果を出せてきているのです。

名門大企業での経験

柴田:大企業で働いた経験に話を戻したいのですが、どんなプロジェクトがいちばん印象に残っていますか。

デヴァリエ:それについてはいろんな話ができるのですが。
まず、(共産主義独裁の)アレンデ政権崩壊直後にチリへ赴任した時のことは、挙げておかなくてはなりません。この政権のひどい政策のせいで、当時のチリでは民間部門が壊滅状態でした。なので私たち(エッソ・チリのスタッフ)は、ほとんど廃墟に等しいところから会社を作り直さなくてはならない、そういう仕事だったのです。最初にあたったプロジェクトのひとつが、配当金を米国へ送金できるよう政府と掛け合うという厄介なもので、交渉の末数百億ドルの収益余剰金を新プラントとその付帯設備に投資する代わりに、配当利益の全額を送還する権利を勝ち取りました。その 次には、人材を改めて活性化するという問題に直面しました。現地の子会社では何年にもわたって、約1000人という会社の規模を考えると過剰な数の労働者を雇い続けてきていたのでした。そこでリストラクチャリングを計画し実行したのですが、そこには自主的退職というオプションも含まれていました。私が満足している点は、この人員削減をすべて自然なやりかたで実行でき、本人にとって不本意なレイオフを経験した労働者を一人もださなかったという事実です。もちろんそれで年間百万ドル程度の経費を削減することにもなりました。

そして三年目には、私はチリ全体を統括するカントリー・マネージャに任命されました。そしてある銅鉱山の取得に成功したのですが、これは後に世界最大の露天掘り銅山となりました。わたしはサンチアゴでエッソ側のポイントマンを果たしたのですが、その際の交渉をすべてスペイン語で取り仕切ったことをいまでも誇りに思っています。

別のプロジェクトでは、当時における史上最大級の民間プロジェクトへのファイナンシングをまとめました。香港にあるチャイナ・パワー&ライト社に2000億米ドルの融資を行い、巨大な発電プラント開発の投資をしたのです。このプロジェクトがひときわチャレンジに満ちたものだった理由は、我々が何ら法的な拠り所に頼らなかったことです。プロジェクトを完成するというギャランティも、アセットを抵当に取ることも、株主から保証を取り付けることもしませんでした。加えて、貸与されたローンの大半は、複雑な通貨スワップを含むものでしたが、その返済期限が香港の中国本土への返還(1997年)よりもさらに後まで続く、というものでした。このディールは「ロンドンでおこった夢のディール」とビジネスウィーク誌で報じられました。

過去の経験をコンサルティング・ビジネスに活かす

柴田:そうしたあなたのバックグラウンドは、現在のインターフェイスでのビジネスにどう役立っていますか。

デヴァリエ:計りようもないほど貴重ですね。すなわち、私はどのクライアントが何の仕事について話をしているかを理解できるのです。銀行、商社、メーカーそれぞれに働く人の話の内容がわかります。クライアントの生徒さんが出会ったものと同じ種類の仕事上の問題にわたしも直面した経験があるからこそです。通貨スワップの取引経験、宣伝計画の立案、リストラの実施、投資計画戦略策定、ポートフォリオの運用、通貨ヘッジ戦略のデザイン、人材獲得など、いろんなことをやりました。そうしたわけで、各クライアントのニーズを理解することは私にとってはさほど困難なことではないのです。

柴田:他のコンサルタントのかたたちは、どうでしょうか。彼らもあなたと同様のビジネス経験をお持ちなのですか。

デヴァリエ:そのご質問はこの業界でもっとも難しい点に触れていますね。つまり、きわめて優秀な人材を探しだし、訓練を施し、さらに育成後は彼らを引き留めておかねばならない、ということです。経験、能力、長期間に渡る日本での生活がこのビジネスで成功するための必須条件です。すぐれたコンサルタントは多岐にわたる才能を有しているといえるでしょう。日本のビジネスと文化、米国のビジネスと文化、そして全世界にあるトップレベルの大学院での各プログラムの特色を理解していなければなりません。また時間の管理とクライアントへ適切な助言が行えることも、きわめて重要です。さらに上手なコミュニケーションのスキルは欠かせません。そうしたわけで、こうした才能をすべて兼ね備えた人材を見つけだすのは極めて困難と言わざるを得ません。

コンサルティング・スタッフのトレーニングと能力開発には大きな時間を割いていますし、そのためにインターフェイスの各コンサルタントは充分な経験を有し、また長くここで働いている人ばかりです。日本での経験がわずか二、三年という人たちは決して雇いません(そういう人たちは、タイへの渡航の行き帰りに日本に立ち寄り小金を稼ごうといった人たちが得てして多いもので)。我々は本物のプロフェッショナルだけを求めてきています。ですからカウンセラーは皆MBA やPh.Dあるいはそれに相当する学位を持ち立派なビジネス経験を持っていますし、またインターフェイスでも最低5年以上の経験を積んでいます。

志願者を取り巻く競争環境

柴田 : MBAのことに話を戻します。今年度の見通しはどうでしょうか。

デヴァリエ:はっきりいえるのは、今年がこれまでで最も競争の激しい年となるということです。

柴田:それはまたどうして。

デヴァリエ :簡単です。MBAに対する需要がますます増加するいっぽうで供給が限られているからです。そのため競争率が上がるというわけです。これに関連して、あらゆるビジネス・スクールが多様なバックグランドを持った学生をクラスに組み込もうとしてますから、日本人志願者も他の国々の応募者と競争することになります、とりわけ他のアジア諸国からの志願者とです。

アジア人志願者の増加

柴田:ちょっと待ってください。アジア諸国の経済危機のせいで、ビジネス・スクールへの志願者数が減ったと聞いていますが。

デヴァリエ:いえいえ、正反対です。そうした類の噂は過去数年にわたり日本で広まってきているものですが、実はまったくの誤りで、現在の志願者増加を押し進めている力を全く理解していない。はからずも、その証といえるかもしれません。

経済的な下降期にある時にはビジネススクール志願者が増加するというのは、すでに過去の経験から証明された事実です。つまり働き口がある人は先行きの雇用に不安を感じており、また失業中の人は雇用状況が改善し魅力的な働き口が増えてくるまで待つ間に自分を鍛え直すための「安全な場」を必要とするからです。

もし疑念をお感じなら、次の数字をチェックしてみてください。これは公式な数字で、97-98年度入学者と97-98年度入学者とを比較したものです。国別および地域別にまとめてあります。日本、中国、韓国、インド、タイ、インドネシアといった国々からの志願者が増加したために、アジア地域からの増加率が最も高い点に注目ください。

Rank   Country   1996/97   1997/98   % Change
1      Japan     46,292    47,073      1.7
2      China     42,503    46,958     10.5
3      Korea     37,130    42,890 15.5
4      India      30,641    33,818 10.4
5      Taiwan    30,487    30,855 1.2
6      Canada    22,984    22,051 -4.1
7      Thailand    13,481    15,090 11.9
8      Malaysia    14,597    14,597 0.5
9      Indonesia   13,282    13,282 6.6
10     Hong Kong   9,665     9,665 -11.7

Region 1996/97 1997/98 % Change
Asia 260,743 277,508 6.4
Europe 68,315 71,616 4.8
Latin America 49,592 51,368 3.6
Middle East 29,841 30,962 3.8
Africa 22,078 23,162 4.9
North America 23,611 22,613 -4.2
Oceania 3,690 3,893 5.5
World Total 457,984 481,280 5.1

柴田:このなかでMBAを選考する学生の数はどれほどなのでしょう。

デヴァリエ: 97-98年度には100,395人がビジネススクールで学んでいます。これは前年比4.7%です。同時に、この数は米国で学ぶ他国からの学生総数の 20.9%にあたります。ビジネススクールがもっともポピュラーな分野で、それにエンジニアリング(71,001人/14.9%)専攻者が続いています。

柴田:日本人全体の数が増えている理由は何ですか。企業派遣で学ぶ人の数は減ったのではなかったでしょうか。

デヴァリエ: その通り、ここ数年企業からの留学生は大きく減少していました。しかしこの傾向がここにきて止まってきています。実際あらたに奨学金プログラムをはじめた企業もあるくらいで、この背景には、こういう時代にこそインターナショナルなビジネスのやりかたを学んだ人材がいちばん必要とされている、それを企業側が理解したという事情があります。さらに重要なのは、企業派遣の学生数が減るいっぽうで、自己資金で留学しようとする人たちの数が大きく増加した点で、この増加数は公費留学生の減少を補ってあまりあるものです。

柴田:大学院を志願する日本人の競争が激化したのは、つまり各スクール側がもはや日本への興味を失い入学者数を減らしたからだという人もいますが、それは本当でしょうか。

デヴァリエ:その見方は、ナンセンスですね。スクール側の日本に対する興味はかつてに劣らず旺盛です。ただ以前と比べて何が変わったかといえば、それは他のアジア人学生が大きく増加したということです。韓国、インド、中国からの留学者数が、日本人のそれを上回るスクールもいくつかあります。クラス内に多様性をつくり出そうという希望が、この現象の根本にあります。さらに、スクール側としては、各学生が授業に積極的に参加し貢献するよう確実を期したい、そう望んでいます。今日ほとんどすべてのMBAプログラムが極めて対話性の高いものになっており、またグループプロジェクトへの参加をも求めています。そこでは他の生徒とチームを組んで、プロジェクトにあたるのです。もし誰かがチームに貢献しないとすれば、それは漕ぎ手を一人欠いたボートのチームがレースしているような有様となります。当然チームの他のメンバーは教授にクレームをつけ、クレームを受けた教授はそれをディーンに伝え、ディーンが今度はそれを入学審査部門に回します。そうした具合で、アドミッションは志願者選考の際にとても注意深くその学生がクラスに貢献するかどうかを見極めようとするのです。

大学院のプログラムに貢献するとは

柴田:プログラムに貢献するとは、具体的にどういうことでしょうか。

デヴァリエ :ひとつには、たとえばある人がどれほど豊富な経験を持っていようとも、授業やグループプロジェクトのディスカッションの場においてそれを他の人と分かち合わなければ、何の意味もないということです。そういった授業スタイルに慣れていない日本人学生のかたには、ちょっと大変なことかと思います。そのため、私たちは生徒さんにたいして「インターフェイスのカウンセリングは、トップレベルのスクールに入学することだけでなく、入ってからの勉強においても成功を収める、そのための手助けをするのだ」とお話ししています。そして生徒さんが留学後直面するはずの学習環境をシミュレートしたりしてこの点を指導しているのです。

また最近新たにはじめた”21st Century discussion and debate”コースには、生徒さんが渡米・渡欧され現地で勉強をスタートする以前に、西洋式の対話形式の学習環境に慣れていただくための狙いもあります。もちろん、英語を使った高度なレベルのコミュニケーション能力を身に付けたいかたならどなたにもたいへん価値のあるコースでもあります。

日本人志願者に多いミス

柴田:海外大学院を目指す日本人志願者に多くみられる典型的なミスにはどんなものがありますか。

デヴァリエ :もっとも致命的なのは、日本の大学受験と同じ戦略に従ってしまうことです。たとえば受験勉強に専念するためと考えて出願より一年はやく勤務先を退めてしまう、などといったケースです。よほどのことが無い限りインターフェイスではこうしたやりかたはお勧めしていません。あるいは、あまりにも単純にテストで高い点を取れば合格が保証されると勘違いしてしまっていたり。これも日本の受験制度に慣れきってしまったことの弊害といえるかも知れません。

その次に、テストの準備についてのアプローチの問題が挙げられます。TOEFLからはじめて、一度に一つのことに焦点をあてつつ順番に進めていこうとする方が多く、それはそれで意味があると思いますが、たとえTOEFLの準備をしているときでもGMATには手をつけない、というのは良くありません。

柴田:生徒さんはどうしていますか。

デヴァリエ: ご存じの通りGMATもTOEFLも「英語」のテストなのです。英語の読解力はGMAT/TOEFLのどのセクションにも必要なわけです、数学のセクションでさえもね。そうしたわけでインターフェイスではGMATのある部分を勉強しながら同時にTOEFLの共通する部分をも学んでしまう、そういうやり方をお教えしています。またTOEFLで進歩を見せている生徒さんには、徐々にGMATに振り向ける時間を増やしていくそのやりかたも指導しています。

三番目は、他人のことを気にしすぎること。一人ひとりが、それぞれ固有のニーズや長所をもった個別の人格だということをつい忘れがちになり、他人がどうしているかばかり気になってしまうようです。わたしたちはこの点も踏まえて、それぞれの生徒さんにマッチした個別の戦略を推薦しています。当然のことですが、ある人にとって有効だったものが他の人にも当てはまるとは限らないからです。

不思議なことですが、入学を許される前から「どのスクールに行こうか」と頭を悩ます人がおおく、また受験する学校の数がすくなすぎるということです。言い方はよくないかもしれませんが、実際に「数を撃てば」当たる確率もあがるわけですし、それに少し背伸びして受ける第一希望のグループ、すこしやさしいレベルのグループ、そして滑り止め的なグループという分類を自分なりにつくり、それぞれのスクールにバランスよく応募するようアドバイスしています。

柴田: GMATとTOEFLについては、どうお考えですか。

デヴァリエ: まず第一にGMAT(Graduate Management Assessment Test)では、その名前にも関わらずマネージメント(実務)能力はテストしません。たとえば現実の職場で仕事に幾何学を使っているような会社がいまどれほどあるというのでしょうか。数年前にあるトップ・スクールの入学審査責任者が当方に立ち寄られた際に、彼はGMATの改変を見当するタスクフォースに参加していると言っていました。それで私も意見を求められたのです。「きちんとした読解の試験を取り入れなさい」と私は答えました。そのころはまだ読解部分の文章もひどくて、わざと「ひっかけ」問題のようなものもありましたので、そのことも指摘しました。しっかりした読解力を計るテストではなく、受験者にとっても退屈で仕方がないものになっている、と。その後このリクエストは受け入れられたようで、大きく改善されています。読解の部分の文章はずっとよく書けていますし、その文体は実際のビジネス書類に近くなっています。なにより「ひっかけ」ではなくより身のあるものとなったと思います。

TOEFL についていちばん大きな欠点をいうと、英会話能力をテストできないところでしょう。実施団体のETS(Educational Testing Service)はTSE(Test of Spoken English)で使われているようなテストをTOEFLにも取り入れるべきです。おそらくいつかそうなるでしょうが、ETSは動きがおそいので。

柴田: GMATがコンピュータ化されてからスコアに変化はありましたか。

デヴァリエ: インターフェイスの生徒さんでいえば、平均で50点上昇しています。新しいテストでは一問当たりにあてられる時間が増えたこと、テスト全体の数がまだかなり少ないこと(繰り返し行き当たる確率が上がる)、そして質問の数が減ったことなどが主な理由でしょう。主催者側は「ペーパーテストとコンピュータ・テストの得点は比較でくる」と主張していますが、実際にはそうではありません。以前なら700点というのは、ちょっと普通でないほど高いスコアでしたが、いまではそれ以上取る受験者もそれほど珍しくはなくなっています。

インターフェイス独自の指導法

柴田: GMATについてはどんなアプローチを採られていますか。

デヴァリエ:まず、高度に専門化している点がいちばんの特徴です。たとえばクリティカル・リーズニング(Critical Reasoning)とリーディング・コンプリヘンション(Reading Comprehension)を受け持つ講師はそれだけをもう何年も教えてきています。センテンス・コレクション(Sentence Correction)の講師は10年に渡ってそれ専門に教えてきました。またマス(数学)を受け持つ講師は東京工業大学の卒業生でインターフェイスでの講師経験も豊富です。

つぎに、このマス以外はすべての授業が英語で行われるので、大学院留学後の本番で上手にやっていくために必要な理解力を身につけることにも役立ちます。そして、クラスのサイズが小さいですから、それぞれの生徒さんに気の済むまでいくつでも質問していただくことなども可能です。さらもテストで高得点を得るために重要なパターン学習とストラテジーも強調してお教えしています。

柴田:生徒さんは英語での授業についていけていますか。

デヴァリエ:ええ。「きちんと準備された講義なら、それが英語であってもとてもわかりやすい」ということに気付いて驚かれる方も大勢いらっしゃいます。日本で長く教えてきた講師たちですから、日本人の生徒さんにとって英語のイディオムや難しい言葉遣いを理解することがどれほど厄介なことかをよくわかっており、明晰で簡潔な英語をつかって話す訓練を充分に積んでいます。そして重要項目をまとめたプリントを準備・配布し、その内容を黒板に書き出しもします。黒板に書かれた点はノートに取る必要があるものですから、生徒さんにはノートブックを持参して、これらの点を書き取るよう指導しています。そうした英語でノートを上手にとるためのスキルを身につけておくと、留学後にも必ず役立つというメリットもあります。

柴田:エッセイ対策については、いかがでしょう。どんなことが大切ですか。

デヴァリエ:エッセイについては、日本人志願者が「勘違いされやすい」部分です。文法の正確さにばかり気を取られ、何をどう書くかというアイデアに充分な注意を払っていません。もちろんすばらしいエッセイには文法的な誤りはみられませんが、それだけが完璧でもしかたがないのです。つまり最も重要なのは、ご自分のこれまでの経験と大学院での勉強を通じて達成しようとするゴールとが、どれくらい明晰にかつ効果的にエッセイのなかで表現されているか、その点なのです。これは面接(インタビュー)についても同じで、それをパスするのに「完璧な英語」は必要ないのです。ご自分の持つバックグラウンド、そして自分がどれだけ入学するに足る資質や経験を有しているか、などを効果的にアピールすること。英会話はお世辞にも上手とは言い難いかたでも、インターフェイスでのトレーニングを通じて効果的にコミュニケートすることを覚え、トップレベルのスクールへ合格された生徒さんが何人もいらっしゃいます。

そのいっぽうで、実に流暢に英語を話されるのに、英会話のスキルとインタビューを受けるためのスキルとを取り違え、自信過剰になってしまったがために、結局うまくいかなかったかたも目にしてきました。これは十分に気をつけたい点で、面接を受ける際には「自分をどう売り込むか」「ステレオタイプとは違った良い質問をするには、どうすればいいのか」ということをよくわかっていなくてはならないのです。特化したトレーニングを受けないで、これを効果的に行えるという人は、その言語能力の高低に関係なく、ほとんどいないといっていいでしょう。

インターフェイスならではの特色

柴田 :他にはないインターフェイスならではの特色はありますか。

デヴァリエ: ええ、もちろん。次の三点を強調しておきたいと思います。
第一に、生徒さんそれぞれの個性に合わせた「パーソナライズされた」カウンセリングを行うという点では、間違いなくインターフェイスがいちばんです。生徒さんとは一年かそれ以上にわたって協力して出願・受験対策を進めていきますから、それを通じてそれぞれのかたをよく知るようになります。生徒さんのほうでも、こうした細やかな心遣いを気に入ってくれています。
第二に、インターフェイスはいまの小規模なサイズを維持していくつもりですが、それはパーソナライズされた質の高いサービスを生徒さん一人ひとりに提供し続けるためです。
第三は、家庭的なところで、私たちは生徒さんを家族の一員のように思っています。我々が結婚式に出席させていただいた生徒さんもいましたし、大学院へ留学された後あるいは卒業された後でも連絡を取り合い、学業やキャリア上のアドヴァイスを差し上げている方も多くいます。私は自分が担当した生徒さんはすべての方を記憶しています。そういうと生徒さんのほうは必ず驚かれますが。

柴田:クラスの規模が小さい点そして各個人に合わせたサーヴィスという点から、インターフェイスの持つアドヴァンテージをもう少し詳しくご説明願えますか。

デヴァリエ: グループ学習(各コース)のクラスは最大で10人程度です。また個人
トレーニングは、担当のコンサルタントが週一回程度、二時間にわたって一対一でカウンセリングを行うというのが一般的です。このやり方だと、生徒さんにとってコンサルタントが信頼のおけるアドヴァイザーとなり絆が生まれるという強みがあります。「自分で自覚しているよりも、コンサルタントのほうがよく自分のことを知っている」と言われる生徒さんもいるくらいです。この相対の指導に加えて、電子メールでのやりとりも使っています。それだと生徒さんは何か質問があるときいつでも相談でしますし、こちらからも24時間以内にメールで返事を返すようにしています。さらに、志望プロセスや各スクールの動向を熟知した日本人アドヴァイザーにも随時相談できます。すべて予約制ですので、コンサルタントとのアポイントメントでお待たせすることはありません。最後に、一年に受け入れる生徒さんの数を最大で90人前後に制限しています。これもサービスの質を維持するためです。

柴田:生徒さんの選考はどうなさっていますか。

デヴァリエ: 直接一人ひとりの方とお話をしてみて、お引き受けするかどうかを決めさせていただいています。留学の目的やゴールをお聞きします。こちらの基準はベーシックなもので、英語の能力は気にしません(実際に、はじめはほとんど英語をはなせなかった生徒さんが何人もいます)。むしろ、自分の潜在能力をどれほど高める意欲があるか、そして地球というコミュニティに暮らす「市民」として貢献していくための能力を伸ばそうとする気持ちがあるか、そうした点に関心があります。テストの得点が低い人もいますし、逆にとても高い点数を取っている人もいます。でも、それはあまり関係ありません。私たちの教えるステップ・バイ・ステップのトレーニング方法に従って勉強を進めていけば、全員が遅かれ早かれ大きく進歩を遂げるのですから。

柴田:インタビュー・トレーニングおよび個人カウンセリング・サービスをはじめたのはインターフェイスがいちばん早かったと言われていましたが、それには倫理的に問題がありはしませんでしょうか。

デヴァリエ: いえ。私たちがやっているのは、各大学院が学生をサポートするためにふつう行っているのと同じことだけです。ただその一つ前の段階のサービスだという違いはありますが。各スクールでは学生の就職先探しを手伝います。同様にインターフェイスでは、生徒さんにとって最良のプログラムを選び出し、そこの入学する手助けをしているのです。ビジネススクールに足を運んでみると判りますが、どこでも学内の掲示板にはレジュメ(履歴書)やマーケティング・レター作成のアドヴァイスを提供する広告が張り出されています。スクール発行の案内を開ければ、インタビュートレーニングを受けている学生の写真が出ているでしょう。実際に、私たちのサービスが彼ら(大学院側)に対しても役立っていると認識しているスクールが多い
のです。留学準備がよく整った生徒さんを送り込んでいるのですから。

同時に、おそらくご存じでしょうが、米国では大学院志願者に対するコンサルティング・ビジネスが大きく成長しています。英語を母国語とする人たちがトップレベルの大学院プログラムに入るためにそうしたサービスをたくさん利用しているのです。ですから、インターフェイスのビジネスがとりわけ日本固有のものだというわけでもないのです。

柴田:これまでの結果はどうですか。

デヴァリエ: 私たちの長い経験、豊かな知識、パーソナライズしたサービス、英語を学ぶことへ重点を置いた授業内容など、これまでに述べてきた強みを活かして、
この業界では他のどこよりも優れた結果を残してきており、そのお陰で「トップ・スクール・エキスパート」の名声を確立できました。規模が大きくないですから、合格者数でいえば一番とは決していえませんけれども、応募者対合格者を対比した場合の「成功率」では一番だという自信をもっていえます。 また、あるトップ・スクールの日本人合格者のうちおよそ半数をインターフェイスの生徒さんが占めたという年も何度かありました。さらに「失敗」に終わるケースも滅多にないのです。

1999年度(暫定)結果

柴田:今年に限っては、どうでしょう。

デヴァリエ: 最終的な結果はまだまだこれからですが、3月末時点で以下のようなトップスクールからの入学許可を含む多くのオファーがすでに生徒さんたちに届いています。

School #
Chicago 4
Dartmouth (Tuck) 4
Duke (Fuqua) 6
Harvard 1
Michigan 8
Northwestern (Kellogg) 7
NYU 5
Stanford 2
Wharton 6

柴田:何か今後のプランがありますか。

デヴァリエ :最近「キャリア・トランジション・トレーニング・サービス(CTTS)」をスタートしたのですが、そこでは日本人求職者が外資系企業に就職するための準備をサポートしています。これまで行ってきたサービスの自然な延長線上にあるもので、グローバルな企業で働くリクルーターや各スクールの就職担当者との間に培ったネットワークが私たちにはあり、また英語で効果的にコミュニケーションをはかり、自分を上手く売り込む能力は、良い働き口を手に入れるには必要だからです。そしてインターフェイスではそうした能力開発に設立当初から関わってきたのですから。

日本の今後について

柴田:最後になりますが、日本のこれからの見通しについて、ご意見があればどうぞ。

デヴァリエ: 私としては「用心しながらも、しかし楽観的」といったところです。日本が大好きですし、またこれからも経済・政治の両面でアジア地域の主要な国家であってほしいと思います。いまの日本は、社会全体がまさに根本から作り直しにかかろうとしているところで、すでに大企業で大量解雇を行うところもいくつも出てきている、そうした状態を目にしています。この社会的なリストラクチャリングはトラウマ(精神的傷跡)を残すでしょう。生来的に劇的な変化を嫌う大企業で終身雇用を保証されていることが前提だった社会文化のなかで、こうしたリストラが進むのですから。ただ、これまで何度もそうであったように、現在の危機を生き残るだけの才能が日本人には備わっていると私は信じています。しかし新しい環境に適応するためには社会的な痛みがどうしても伴います。いずれにせよ、そうしたトランジションに伴う痛みを和らげ「適応」を遂げるためのトレーニングサービスを喜んで提供していきたいと考えています。

柴田:いろいろとお聞かせいただき有り難うございました。 20周年のときにもまたインタビューできればと願っています。

デヴァリエ: どういたしまして。またお話しできるといいですね。