MIPLC LLM 合格体験記

留学先:ミュンヘン知的財産法センター (Munich Intellectual Property Law Center MIPLC LLM)

大学院出願準備記(出願エッセイ対策など)
LLM合格体験記 No.354






海外大学院(LL.M)合格体験記

このたび、10ヶ月の準備期間で、法学士ももたずにロースクールに合格することができました。ここに、合格までの道のりをご紹介させていただきます。ここに書いたことが、後に続く皆さまのお役に少しでも立てましたら幸いです。

1. 英語

1)概要

まずは外国の大学院に出願するには、TOEFLのスコアを獲得しなければなりません。私の場合は、スコア100が必要でした。試験の制度が変わって、日本人にはかなり不利になったときいています。しかし、私は新制度に変わった後に勉強を始めたので有利不利ということはあまり考えないようにしました。Reading Hearing Speaking Writingそれぞれ30点満点のうち、目標をReading28;Hearing28;Speaking20; writing26としました。Speakingはnon-nativeで20点がせいぜいといわれていたため、Speakingのスコアを他のセクションでカバーする必要がありました。TOEFLの勉強を始めたのは2月くらいだったと思います。TOEICのスコアが920だったので、すぐに目標スコアを出せるだろうと思い、当初、英語の勉強は6月までと計画を立てていましたが、全てのセクションで万遍なく力を出し切るのに手間取り、結局10月までかかってしまいました。

2)全般的な対策

TOEFLの設問は、アカデミックなレクチャーや学生同士の会話や大学担当者との会話などで構成されているため、最初にTOEFL用に編集された「3800」という単語集を使ってまずは単語から攻略しようと思いました。TOEFL受験中は週に1回は本を開いてチェックするようにしていました。勉強時間につきましては、休日以外はまとまった時間が取れませんでしたから、通勤途中や細切れの時間を利用して、30分でも時間が取れたらラッキーという感じで進めていきました。休日は問題を解いたり、気分転換にスタバに出かけて勉強したりして、集中力を持続させることにも留意しました。

3)Reading対策

Reading対策には、公式問題集やBarron’sの問題集をひたすら時間を計りながら解きました。Readingは一番安定していたセクションですが、初めて受験したときに、最初の問題で丁寧に解きすぎ、危うく制限時間内に答え切れなくなりそうになり、ひやひやしたことがありました。それ以来、問題を解くときにはいつもタイマーを用いて、細かく時間をチェックするくせをつけました。

4)Hearing対策

Hearing対策には、これらの問題集のHearingセクションをダビングして、一語一句まで完璧に聞き取れるように通勤時間等を利用して何度も繰り返し聴きました。気分転換に映画を観たりするときも、なるべく言葉に耳を傾けていました。HearingはSpeakingセクションでもWritingセクションでも必須です。従いまして、Hearingを如何に精度よく完璧にすることができるかが、スコアアップの早道と考えました。受験期間中Hearing対策にかけた割合が一番高かったと思います。

5)Speaking対策

Speakingは毎回の試験で準備不足を実感しました。特に、最初の2問は、問題を聞いてから15秒で何を喋るか構成しなければならず、この反射神経を養うにはとても時間を要しました。さらに、喋り始めても、時間配分をコントロールすることが難しかったです。公式問題集には、試験課題の一覧が掲載されていますが、このうち100ほどをSpeakingセクションの設問に見立てて、自分なりの解答をカードに書き出して、それを制限時間内に喋る練習を重ねました。

6)Writing対策

Writingは、仕事で英語を使っていたこともあり、特に準備はしませんでした。

7)試験当日の対策

TOEFLの当日は、かなり早く試験会場に着くように行動しました。席に着いた順に試験が始まるので、早く試験を始めたほうが有利です。例えば、周囲より遅く試験がスタートすると、集中力を要するHearingセクションのときに、周囲ではSpeakingセクションが始まってしまい、これでは、集中力もあったものではない、と思ったからです。ただし、普段からスタバなどで勉強することで、ある程度の喧騒の中でも、集中できるようにしておきました。

8)まとめ

TOEFLの勉強をしていた頃は、目標スコアに辿り着けるのだろうか、との思いでした。しかし、TOEFLは海外での講義についていくための最低限のレベルであるといわれます。ここでくじけるわけにはいかないと、かなり意識を集中して取り組みました。

2. 出願書類

1)概要

出願書類(Application form/Personal Statement/Essay/推薦状/受験料/その他各大学によって要求される書類)の作成のうち、一番時間をかけたのはEssayですが、最初に作成したのは、Personal Statementです。自分の経歴などを記載する過程で、その都度、Essayに盛り込めそうなものなどを思い出しながらの作業でした。

2)Personal Statement

Personal Statementはいわゆる履歴書のようなものですが、日本の履歴書に記載する個人的な事項のほか、大学時代に貰っていた奨学金や受賞の有無、雑誌に掲載された論文や趣味など、その書式も自由に記載できるものです。書誌的事項のみといっても、そこからなるべく自分という人物が浮かび上がってくるような内容を目指しました。職歴や大学時代の専攻については、実際にどのような仕事や活動をしてきたのかが分かるような具体的かつ簡潔な書き方を心がけました。また、趣味の項目では、Essayや外国の大学で学ぶことや生活することに結びつきそうなものを選んで書き出しました。Essayを書き始めてからも、さらに書き加えたほうがいいと思う事項も次々と浮かんできました。その都度、記載方法や順序を変えたりして、印象に残るような記載を目指しました。印象に残るような記載という観点からは、たくさんの書類を見る審査官の立場から、見た目も重要と考え、書式やフォント、行数等レイアウトも何度もプリントアウトしてチェックを重ねました。

3)Essay

Essayでは、私は大学時代の専攻が法学とは全く異なっていたため、どうして理系から法学を学ぶに至ったかについて、説得力ある構成を目指しました。また、どうしてロースクールで学ぶのか、具体的には何を学びたいのか、卒業後は学んだ知識を生かしてどのような仕事をしたいのか、ということについて、自分の考えをまとめました。最初は箇条書きで考え付くままに書き出して、それを数日して読み直して、さらに付け加えることがあれば加筆し、という作業を繰り返し、その後、記載事項をカテゴリーに分類して、各カテゴリーでの構成を考え、最終的に一つの書類を作成するという作業を繰り返しました。平日はなかなか時間がとれず、結局ほとんど週末しか作業する時間がなかったのですが、自分が書いた書類を一週間寝かせることで、客観的な目線で自分が作成した書類に眼を通すことができたのは、よかったと思います。メモは最初から英語で書き出しました。大量の書類を最後に英語に訳す作業ではミスも多くなると考えたからです。日本語は曖昧な言語といわれますが、日本語で思い浮かんだ自分の考えを論理的に表現するのは案外骨の折れる作業でした。しかし、最終的にはセンテンスごとにじっくり考えながら英文を作成することで、自分の考えをまとめることにも役立ちました。さらに、この作業はTOEFLのWritingのセクションの練習にもなりました。やはり、書式やフォント、行数等レイアウトも何度かプリントアウトしてチェックを重ねました。スペルミスなども何度も色々な観点からチェックしました。これでいい、と思えるようになるまで、かなり時間を費やしました。

4)推薦状

推薦状は大学時代の教授と職場の上司からのものを要求されることが多いようです。ご依頼をしたところ、快く引き受けてくださったのが嬉しかったです。推薦状に記載する内容は、通り一遍のものではなく、個人的、具体的な出来事を盛り込むような構成に努めました。大学時代の恩師からは、「久々に懐かしい時代を思い出しました」と仰って頂けました。何でも具体的に簡潔に記載するのがいいと思います。

5)Application form

Application formは大学ごとに書式が異なるため、じっくり読んで、正確な記載をすることに留意しました。最近はどこでも、PCで打ち込むことができますので、住所の記載などの共通な事項はCopy & Pasteで使い回せると思います。

6)その他の書類等

その他、大学ごとに写真が何部か必要であったり、残高証明書が必要だったりするので、ノートを作って、大学ごとに必要な書類や事項を書き出していって、提出漏れがないように留意しました。受験料は手数料のリーズナブルさから郵便局から送金手続きをしました。HPで海外送金ができる郵便局が検索できます。毎日為替の変動をチェックして、今日こそは、という日に送金に行きました。出願しなかった場合などは、手数料を差し引いた額の返金も可能ですから、一度にまとめて手続きをするのがいいかと思います。

7)書類の発送

書類の提出には、やはり手数料のリーズナブルさから郵便局のEMSを利用しました。書類の中にも別送(特に推薦状など)が要求される書類がありますので、最後に再度確認をして封をしました。何しろあらゆることが始めてのことだらけの作業でした。特にヨーロッパ向けの作業には神経を使いました。書類の空欄一つ埋めるにも、何を書いたらいいのか戸惑うことが必ずありました。

出願を終わらせた後も、受験料の送金がうまくいかないとの連絡を受け取ったことがありました。うまくいかないといわれても、これ以上どうしたらいいのか分からず、仕事の兼ね合いでそれほど時間もとれない状況の中で、そこはもう諦めようかと思いました。担当者に再度問い合わせたところ、「あなたはhighly qualified candidateだから受験料の振込みさえ確認できたら、すぐにadmissionを出す予定よ」との返事を頂き、そのお言葉で最後の気力を振り絞ることができたと思います。その後も大学の担当者と郵便局の方が双方とも親切に対応して下さったことで、時間はかかりましたが、何とか送金もすることができました。

8)さいごに

受験期間を通じて、海外大学院に在学中、又は卒業なさった、いわば先輩の方々からたくさんの情報そして、すばらしい方々を紹介して頂きました。人脈を作ることも重要なことだと思います。そして、最後に、インターフェースのスタッフの方々には本当に皆さんから親切に対応して頂き、感謝のかぎりです。

インターフェースのことは、MBA志望の友人から教えて頂きました。MBA志望の方々が多数おられる中で、LLM志望という少々アウトロー的な私に対しても、MBAの方向けとの講座の違いや、料金やサービス内容についても、きちんと説明をして頂けたこと等が信頼できると思い、数ある受験機関の中からお世話になることを決めました。右も左も分からないなかで、夢が叶えることができて、嬉しく思っています。どうもありがとうございました。また、ここまで読んでくださった皆様には感謝いたしますとともに、昨今の厳しいといわれる状況の中でも準備を進める皆さまのご健闘をお祈りいたします。







大学院留学 合格体験記
MIPLC LLM (ミュンヘン知的財産法センター LLM) Class of 2011