留学先:ノースウェスタン (Northwestern Kellogg MBA)
大学院出願準備記(出願エッセイ、インタビュー対策およびコーチングなど)
MBA合格体験記 No.395
1. はじめに
つらかったMBA受験が終わり、最終的に、非常に満足のいく結果を残すことができました。この素晴らしい結果は、当初想像もしていなかったものであり、インターフェイスの皆さまの支えがなければ達成できなかったと感じています。インターフェイスの皆さまに御礼申し上げるとともに、後進の方に少しでも参考になるよう、受験プロセスと、そこでの学びについて、共有させて頂きたいと思います。
2. 基本データ
職務経験 | 政府系金融機関(6年)(うち、コーポレートファイナンス1年、PE投資業務等の新規事業立ち上げ2年、傘下のPEファーム出向3年) |
海外経験 | 出張・旅行のみ |
出身大学 | 東京大学法学部(GPA:3.5) |
TOEFL | 108 (R29, L28, S23, W28) |
GMAT | 690 (V34, M50, AWA 5.0) |
3. 合否結果
合格校 | Columbia Business School, Dartmouth Tuck, Berkeley Haas, Northwestern Kellogg |
途中辞退 | MIT Sloan |
不合格校 | Stanford GSB |
4. スケジュール
2009 / 12 | 社費試験合格 |
2010 / 1 | TOEFL学習開始/TOEFL初受験(92)/その後継続的に受験 |
2010 / 4 | GMAT学習開始 |
2010 / 5-6 | 案件の山場が重なり一時受験準備休止(ただし、きつくてもTOEFLだけは受験) |
2010 / 7 | TOEFL出願スコア獲得(108)/その後も110 over目指して数回受験するも実らず |
2010 / 7 | 説明会ラッシュや受験仲間の進捗に触発され、無理やりGMAT初受験するも、撃沈 |
2010 / 8 | GMAT 2回目受験(690)/再受験のタイミングを見計らいつつもエッセイ開始を決意 |
2010 / 9 | インターフェイス入門 |
2010 / 10 | Columbia、MIT Sloan出願 |
2010 / 11 | Tuck, Haas出願 |
2010 / 11 | グループインタビュートレーニング開始 |
2010 / 12 | Columbia合格、MIT Sloan辞退(invitation受領後) |
2011 / 1-3 | Stanford、Kellogg出願/Tuck、Haas、Kellogg合格/Stanford不合格 |
5. テスト対策
結果的には満足のいく成果が得られたMBA受験でしたが、唯一、スコアメイキングだけは、若干の後悔が残っています。TOEFL、GMATとともに、心身すり減らして勉強したと思うのですが、結局、理想的な点数には今一歩及びませんでした。ここでは、自身の体験も交えながら、私が得た教訓を共有させて頂きます。
(1) 予備校に通うだけで安心してはいけない(TOEFL, GMAT共通)
私は、特殊な業務環境にあったため勉強に割ける時間が限られており、効率的な学習を望んでいたことから、TOEFL、GMATともに、有名な某予備校に通学しました。しかしながら、ほとんどの予備校は、勉強方法の指南や学習素材の提供に主軸を置いているため、予備校への通学以外に、いかに定期的に勉強する時間を確保し、基礎的な英語力・回答力を高めていくかが大事であると感じました。よく考えれば、TOEFL、GMATともにできるだけ本質的な英語力・論理力を図ろうとして試行錯誤を重ねてきているので、テクニックやテンプレート等だけでは限界が生じるのは当然です。しかし、当時の私は、予備校に通っただけで満足してしまい(力尽きてしまい)、その後の定期的な勉強時間を確保できずにいました。
例えば、TOEFLのリスニングについて、予備校で教わったシャドーイングを継続していた期間に受けたテストのリスニングスコアはそれなりによかったのですが、その後、ライティングの講座が始まるや、余力がなくなってシャドーイングを怠ることになり、結果、リスニングの点数は見事に下がりました。GMATも同じで、予備校に通って明快なSCのルールを教わったはいいものの、予備校に通ってSCの問題収集に努めるだけで時間がなくなってしまい、英語読解力そのものを高める機会を設けることができませんでした。CRとRCで良い点数を取ることができなかったのが、verbalであまり良い点数が取れなかった敗因であると感じています。
もちろん、予備校に全く通うなと言っているわけではありません。予備校で教わった勉強法や学習素材・テクニックそのものは、さすが、長年の蓄積の賜物で、有益なものであったと思います。大事なのは、それで安心することなく、定期的に自分で勉強する時間を確保できるかどうかです。英語力に自信がない人、時間に限りがある人にとっては、少し勇気が必要な決断かもしれませんが、目標期間内でターゲットスコアを獲得するにはどれくらいの学習時間が必要かをきちんとリサーチして、必要あれば予備校に通う時間については取捨選択することを推奨致します。
(2) 安心材料に過度に頼ってはいけない(特にTOEFL)
受験期間中、多くの人が、また自分自身も、「TOEFLはスロット的要素があるからいずれ何とかなる」あるいは「とりあえず100/105を超えたから一安心」といったセリフを何度も口にしていました。しかし、これは今から思うと、麻薬のような言葉であると感じます。
結局、スロットのように点数が乱高下するうちは、しっかりした英語力は身についていないと判断した方がよいと思います。リスニングの点数がよかったときは、たまたま勘が当たっただけかもしれないですし、ライティングの点数がよかったときは、前に見たことのあるトピックが出たからかもしれません。その後のインタビューや実際のMBAでの授業では、聞きとれたり書けたりするまで10回も20回も繰り返してもらうわけにはいかないですし、「スロットだから」という言葉にあぐらを書かずに、地道に基礎力を磨き続けるべきであると(自省を込めて)感じます。
また、一般に、100点若しくは105点を超えると急に点数が鈍化する傾向があると思いますが、これは、学習の限界効用が逓減しているだけでなく、やはり、気持ちの緩みも大きいのだと思います。事実上、110点内外の点数が望ましいと言われるなか、100/105点を超えたことだけを過度の安心材料にしてはいけないと(同じく自省を込めて)感じます。
もちろん、受験期間中はつらいことの連続なので、これらを精神安定剤として使うことは必要なのですが、過度に口をすると、精神安定剤の役割を超えて、最終的なゴールへの到達を妨げかねないのではと思います。私の場合も、7月のテストで108点を取得後、全く勉強せずに、「いつか110点超えるかもしれない」という期待感だけで数回試験を受けましたが、今から思うと時間とお金の無駄であったと感じています。
(3) 空白期間は作ってはならない(特にGMAT)
GMATのverbalについては、SCのルールを覚えることに加え、単語力・読解力を高めてCRとRCへの回答力を身につけるのがセオリーかと思いますが、試験慣れ(独特の試験形式や時間制限下でのプレッシャーへの対応力)も極めて必要です。振り返ると、単語力・読解力はもちろん、SCのルールについても、記憶や感覚が劣化するスピードはさほど速くないのですが、この「試験慣れ」の感覚は、少しでも空白期間ができると、一気に失われるように感じました。
私の場合、5月から6月にかけて、業務の関係で空白期間ができてしまったことと、9月以降、チャンスをうかがいながらも再始動する機会を逸してしまったのを、後悔しています。空白期間をおいた7月の最初の試験では大失敗をし、その後、Prepなどで試験慣れして臨んだ8月の試験で何とか出願できる点数を獲得したのですが、その後の再度の空白期間を経て、11月頃に再度受験しようと思った頃には、試験の感覚が完全に失われており、2回目のスコアで出願せざるを得ませんでした。
皆さんにおかれても、1-2カ月程度の空白期間でもこのような事態になりうる点を念頭に置いて、業務の都合や受験の流れをよく吟味し、好ましい受験のタイミングを探されるとよいように思います。
6. エッセイ
テストスコアに若干の不安を抱えながら、また、限られた時間しかないなかで、エッセイ準備に取り掛かることになりましたが、デバリエ先生の指導のおかげで、満足いくエッセイを作成することができました。他のカウンセラの方にお世話になった経験はないので、相対的な比較はできませんが、私が感じたデバリエ先生の強みを以下の通り共有させて頂きます。
(1) 日本/欧米のビジネスプラクティスへの精通
デバリエ先生は多岐にわたるビジネス経験をお持ちであることから、私が自分のビジネスを説明するのに、ほとんどストレスを感じずに済みました。
例えば、個別のPE案件一つとっても、スキームはとても複雑であり、プレイヤー毎にその役回りや求められる資質も異なるのですが、専門的な内容に踏み込んで説明せざるを得ない場合であってもスムーズに理解を頂き、すぐさま、アピールすべきポイントを取捨選択するための適格なアドバイスを頂きました。また、他にも、出向先での人事問題についてイニシアチブを取った経験を題材にしたことがあったのですが、デバリエ先生は、日本と米国の人事・評価制度や社会的認識の違いまで議論を掘り下げ、大学側にアピールをしやすいインプリケーションを提供して下さいました。
これらは、デバリエ先生が、日米双方の金融機関・事業会社で、リアルなビジネスやマネジメントロールを数多く経験されてきたからこそなし得たアドバイスであったと思います。アプリカント→カウンセラ→エッセイ→アドミッションと情報を流していく必要があるなか、最初のカウンセラとの情報共有がうまくいかないと、あるいは、アドミッションの視点や欧米のビジネスに照らした適切なアピールができないと、だめな伝言ゲームのように、アプリカント自身が伝えたかった内容と、アドミッションが感じ取る内容には、最終的に大きな隔たりができてしまいます。英語力に限界がある私にとっては、デバリエ先生が、自分のビジネス経験そのものについて深い理解を示して下さったのは、大きな救いでした。
(2) 深いレベルでの「リーダーシップ」「チームワーク」の教え
ややもすると捉えどころのないこれらの概念について、自分なりに納得感のいく議論ができたのも、デバリエ先生にカウンセリングをお願いした一つの成果であると感じています。印象的だったのは、リーダーシップエッセイを執筆する前にお願いしたコーチングセッションです。「リーダーシップ」を構成する典型的な要素(initiative, passion, integrity等々)や、それぞれの事例について、ディスカッション形式で理解を深めるものだったのですが、一方的に「リーダーシップ論」の講義を受けるのではなく、むしろ私の方が質問にどんどん答えていき、それに対してデバリエ先生が示唆を与えるというもので、極めてオーダーメイド色の強いものでした。デバリエ先生自身の成功・失敗談や、著名政財界人の事例も引き合いに出しながら議論が進められることや、私自身の認識・経験から派生したリーダーシップ像をイメージできることから、徐々に「リーダーシップ」という言葉が空虚に聞こえなくなっていったのを記憶しています。
コーチングセッションを受けてから作成したリーダーシップエッセイは、客観的に素晴らしいかどうかは別にして、自分としてはとても納得感のあるものになりました。
本などから得られる「リーダーシップ論」を超えたディスカッションができるのは、デバリエ先生自身のキャリアが長きにわたることや、過去20年超に渡り数多くのクライアントの事例を血肉化されてきたこと、また、留学予備校の枠を超えたコーチング事業も展開されていることによるものだと思います。「リーダーシップ」「チームワーク」などは、これから生涯かけて磨いていくものであり、現段階で「理解した」とは到底言えないものの、少なくとも受験期間中に納得感を得ながらプロセスを進めることができたのは、大きな利点でした。
(3) 卓越したプロフェッショナリズム
最後に、デバリエ先生のプロ意識の高さは、受験期間中の一番の安心材料でした。
私がお願いしたカウンセリング形式は、固定された曜日・時間(私の場合は木曜日夜)にカウンセリングを行い、消費時間分(通常は週に2時間)チャージされるというものでした。毎週、火・水曜日は極限まで睡眠時間を削って、カウンセリングの時間ぎりぎりにメールでドラフトを送り、インターフェイスまでの電車もしくはタクシーの中でわずかな仮眠をとり、カウンセリングに臨むという流れでした。そこでデバリエ先生から無事にゴーサインが出れば一息つけるのですが、他方で、業務に追われてしまい、つい、詰めきれていないドラフトを送ると、どんなに私が疲れきっていようが、必ず厳しい叱責の言葉を頂きました。それに対して何くそと思うことで(←そう思わずにはいられないほどの、的を得た厳しい言葉を頂きます)、週末を丸々つぶしてでも次週にまとめてリカバリーさせる、というサイクルでした。
このインテンシブなサイクルのおかげで、精神的・時間的に余裕がない中にあっても満足いくドラフトをどんどん作り上げていくことができました。特に、エッセイ開始2ヶ月程度で3~4校分のドラフトを完成させ、その全てからinvitationを頂くことができたのには、とても驚きました。
そして、このサイクルは、デバリエ先生の卓越したプロフェッショナリズムなくしては成しえなかったと感じます。デバリエ先生は、毎週毎週、同じ曜日・同じ時間に万全の体調でクライアントの来訪を待ち、常に一定以上のクオリティを提供して下さいました。また、一定以上のクオリティを確保できないと考えるや否や、クライアントを厳しく叱る労をも厭わず、リカバリーするための道を提示して下さいました。これらは、プロ意識の表れに他ならず、カウンセリングを繰り返すごとに、「自分さえ歯を食いしばってついきさえすれば、必ず支払単価に見合うもの以上のクオリティを提供してくれること」についての安心感が芽生え、それがさらにポジティブなモメンタムを作ってくれました。
他にも素晴らしいカウンセラの方々はいらっしゃると思いますし、よく聞かれる、「フラットレートなので対応が柔軟である」あるいは「常に優しく滅多に怒らない」といった面も、カウンセラとしての良い資質だと思います。しかし、これらにもダウンサイドもありうる点は留意が必要だと思います。万が一、「何度出してもコメントをくれるのはよいが、レスポンスも遅く、他のアプリカントより劣後扱いされていないか不安」、あるいは、「どんなドラフトを出しても厳しいコメントがなく、きちんと見てもらえているか、逆に不安」などと感じてしまうと、カウンセラとの信頼関係は崩れてしまいかねません。
この点、デバリエ先生の場合は、上述のプロ意識を軸に、全てのクライアントに、transparentかつ平等なサービスを提供しており、そのような不安が生じる余地は全くありませんでした。自分でも詰めが甘いと思ったドラフトには必ず厳しい言葉を頂きましたし、逆に、すぐにOKをもらえたときなどは、素直にうれしくなりました。この安心感・信頼感は絶大で、余計なことを考えずに、エッセイをよりよいものに仕上げていくことに集中することができました。
7. インタビュー
インタビュー対策についてもインターフェイスでお世話になりました。具体的には、11月のグループインタビューコースを履修したあと、個別インタビュー対策を数回実施して頂きました。
グループインタビューコースについては、はじめは「個別トレーニングを受けた方が効率的なのでは…」とも思っていたのですが、結果的には個別トレーニングにはない効果を多く得ることができました。例えば、変化球の質問への答えに窮したときにどうするか(どれくらい間が空いたら不自然に映るか、どういう表情をしたら平静を保っているように見えるか、どうしたら時間稼ぎをできるか等)などは、個別トレーニングを積み重ねるより、1回のグループトレーニングで他の数名の様々な反応を客観的に見た方が、はるかに効率的に学べます。また、典型的質問(Introduce yourself, Why MBA等)についても、千差万別の答え方があり、良いフレーズや論理展開の仕方があれば、それを共有することもできます。
実際に複数のインタビューを受けてみると、典型的質問であっても様々な聞かれ方をすることがよくわかります。個別トレーニングで自分の刀を磨き続けることも大事ですが、受験仲間から分けてもらった多くの小刀も併せ持つことで、実際のインタビューの場での戦闘力(対応力)に格段の違いが出てくるのだと思います。
また、よくいわれるように、グループトレーニングで一緒になった受験仲間との結束は、代えがたい財産となりました。デバリエ先生という個性的なトレーナーに向き合った仲間として、妙な連帯感が発生し、損得勘定なしでお互いを支え合うよき仲間を得ることができました。インタビュアーの(Facebookなどからではわからない)人となりをシェアしあったり、インタビューの内容をフィードバックしあったりすることで、お互いにより良い結果につなげることができたと思います。
8. J – Staffの皆さんの支えと、”Interface”ブランド
インターフェイスを語る上で欠かすことができないのは、J – Staffの皆さんによるサポート体制です。受験開始までは思ってもいなかったのですが、出願書類を提出するまでのプロセスは、様々なストレスが伴います。ファイルをアップロードするとバグが出てしまう、推薦状の字数制限が「word」なのか「character」なのかわからず推薦者に執筆を頼めない等々、細かな問題が生じたときに、さっと日本語で聞けて、すぐに回答を下さるサポート体制には何度も助けられました。また、デバリエ先生にこっぴどく怒られた時や、体調を崩した時などに優しく声をかけて頂いたり、受験トレンドなどについて雑談をさせて頂いたりすることで、モチベーションを上げることもできました。最近は、個人商店のカウンセラも増えてきましたが、英語・日本語それぞれでクライアントを支えてくれる「チームInterface」の温かみは、受験中の心の拠り所になりました。
また、”Interface”ブランドも支えの一つとなりました。数多くの卒業生をトップスクールに送り出してきた実績があることは、自分も頑張って満足いく結果を出そうという気持ちを駆り立てましたし、ネットワーキングの過程においても、アラムナイ等に「Interfaceで見てもらっているなら安心だね」と言われ、誇りを感じ、やる気が出たのを記憶しています。
9. おわりに
受験を終えてみて、改めて、インターフェイスは、信頼できるプロフェッショナルファームとして、一連のプロセスを力強く支えてくれたと感じています。チームInterfaceに感謝申し上げるとともに、この体験記をお読み頂いた皆さんにおいても、よきパートナーを見つけて、より良い結果を残されることを願います。
大学院留学 合格体験記
Northwestern KelloggMBA(ノースウェスタン ケロッグMBA) Class of 2013